(1)政府間協定により農業者の移住事業が締結された中南米地域には現在約230万人の日系人が居住しており、中南米地域の日系社会支援を積極的に実施するため、外務省内に「中南米日系社会連携推進室」が設立されるなど、政府全体で中南米地域の日系人社会との様々な交流事業が行われている。
(2)一方、近年、日系人の世代交代が進み、中心世代が二世から三世、四世へと移行していく中で、日系人としてのアイデンティティが薄れるとともに、日本との交流の希薄化の加速が懸念されている。
(3)中南米地域はブラジルをはじめ穀物等の世界の食料供給基地であり、また、日本食への関心が高いため、我が国の食料安全保障の確保及び農林水産物・食品の輸出促進の観点から、引き続き良好な関係を維持・強化する必要がある。
(4)また、我が国の「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」では、2030年までに5兆円という輸出額目標を設定しているところ、世界最大の日系人コミュニティ(約230 万人)を持つ中南米地域は日本食への関心や認知度が高く、潜在的に日本食、日本食材への需要があることから、日系人等との連携により我が国農林水産物・食品の輸出拡大に向けた取組を行う必要がある。
(5)このため、本事業は、我が国の食料安全保障の確保及び農林水産物・食品の輸出促進の観点から、日本との間で移住協定が締結されたブラジル、アルゼンチン、パラグアイ及びボリビア等の中南米各国で農林水産業・食産業分野に携わる日系人及びその関連組織並びにその関係者・機関等(以下「日系農業者等」という。)と我が国の連携・交流を推進、強化することを目的とする。併せて我が国の農林水産業・食産業分野の技術・ノウハウを活用した中南米におけるフードバリューチェーン(以下「FVC」という。)の構築を通じ、我が国食産業の中南米への展開を推進し、海外需要の獲得を目指すものとする。
(6)具体的には以下に掲げる取組を行い、農林水産業・食産業分野での日本企業の中南米におけるビジネス創出や日系農業者等との連携交流の強化、我が国の農林水産物・食品の輸出促進を図ること。
①日系農業者や農業団体等との連携強化
②現地の若手リーダー育成や先端技術による生産性向上の支援
③中南米への戦略的ビジネス環境整備
令和6年4月3日から令和7年3月21日まで