事業成果フォローアップ

本事業では過年度事業より、日本企業と中南米日系農業者とのビジネス交流に取り組み、ビジネス創出を目的としたマッチングの場を提供してきました。日本と中南米の距離の遠さから、実際の取引に繋がる事例は決して多くはないですが、その中でも取引に繋がった好事例について、インタビュー形式でのフォローアップ調査を行い、成果や今後の展望について取りまとめました。中南米への展開を目指している企業にとっての参考資料として、ご覧いただけたらと思います。



ヤンマー サウスアメリカ(野菜移植機)

⽇系農業者とのネットワークを有する本事業を通して、ヤンマーサウスアメリカ社が⼩型野菜移植機のデモンストレーションを実施しました。企業努力の成果であることはもちろんですが、このデモンストレーションがひとつの契機となって、現在まで日系農業者による購入が増加傾向にあります。

Vol.1 ヤンマーサウスアメリカ社

現地での活動

  • ■2016年度事業の現地視察(商談会)に参加
  • ■⽇本製の⼩型野菜移植機と、⼩型トラクターに装着する畦(あぜ)⽴てインプルメントを⽇本からブラジルへ輸送

  • ▷2016年9⽉:ブラジル・イビウナ農協で試験運転
     ⇒作業負担が⼩さく、移植精度も⾼いと評価
     ⇒モニターとして貸与
  • ▷2017年1⽉:ブラジル・モジダスクルーゼス市でデモンストレーション
     ⇒50名以上の⽣産者に紹介
  • ▷2017年2⽉:ブラジル・サンパウロ市でデモンストレーション
     ⇒南⽶4ヵ国の⽇系農業団体の代表に紹介

成果


よかった点

  • ⽇本の農林⽔産省からの委託事業のため、現地での信⽤度が⾼かった
  • デモンストレーションのために、「カタログ」ではなく「実機」を運べた
  • ⽇系農業者に知ってもらえる⾜がかりになった
  • オピニオンリーダーが購⼊を検討し、モニターとして貸与した結果、⼝コミが効率的に広がった

事業参加後の展開

見えた課題 / 今後の展望

  • 当時、現地で取り扱っていない製品だったため、保証や部品の交換などアフターサービスについての疑問が多かった
  • ⽇本の⼟に合わせた農業機械のため、デモンストレーションをしながら試⾏錯誤した
  • 商談時にコンセプトを理解してもらうことはできたが、導⼊までに1年以上かかった
  • 現地スタッフの商品理解度を深め、さらに販売を促進していきたい
     



サボテン(農業用はさみ)

本事業で行った訪日研修で農業展示会を訪問し、サボテン社のはさみを試したブラジルの果樹⽣産者からサボテン商品を望む声が上がり、現地視察へ参加していただきました。現地視察では流通経路の確⽴までには至りませんでしたが、ブラジル農協との果樹⽤保護袋の取引が成⽴に繋がりました。

Vol.2 株式会社サボテン

現地での活動

  • ■2019年度事業の現地視察に参加(2020年1⽉)
  • ■ぶどう⽤園芸⽤具(はさみ)、果樹⽤の保護袋を現地の農業者に紹介。

  • ▷ブラジル・ピラールドスル市:APPC農協視察
     ⇒マスカットなどの農場を訪れ、製品を紹介
  • ▷ブラジル・ペトロリーナ市:ノバアリアンサ農協訪問、販売店の視察、⽇本⼈会訪問
     ⇒農協・農業者に製品紹介、他社製品の確認・価格調査
  • ▷ブラジル・サンパウロ市:農業ビジネスセミナー、⽇系農業者連携強化会議
     ⇒⽇系農業者との商談会、会議での報告ジェトロ訪問、果物卸売市場の視察
     ⇒販売価格について相談、鮮度管理の状況を確認

成果


よかった点

  • ⾃社製品(ぶどう⽤のはさみ)が現地ニーズに合っていることが確認できた
  • 課題が明確になった
  • 市場として今後も引き続き、中南⽶での展開をしていく意欲がある

事業参加後の展開

  • ブラジルの農作業道具輸⼊企業と100ケース程度の農業⽤はさみの取引を開始
  • 現地の⼤⼿農業メーカーからの引き合いがあった(条件が合わず契約締結には⾄らず)

見えた課題 / 今後の展望

  • 現地視察の前に、現地販売価格の設定ができていなかった
  • 輸⼊商社や代理店など、メーカーと消費者(農業者)の間を結ぶパートナーと繋がれたらよかった
  • 今回取引に⾄った先への継続した販売に繋げていきたい